マグネシウムの働きについて
こんにちは!
薬剤師の加賀千映子です。
先日クライアント様から脚がつりやすいというお話を聞き、今日は体に必要なミネラルの1つ、マグネシウムの働きについてお話したいと思います。
体に必要なマグネシウムとは
マグネシウム、聞かれたことはあると思いますが、体の中でどのように働いているかを気にされている方は少ないのではないでしょうか。
カルシウムや鉄は意識して摂らないといけないミネラルだと、なんとなくご存じだと思いますが、マグネシウムは体の中でたくさんの機能に関わっているため、カルシウムや鉄と同じように意識して摂ってほしいミネラルです。
- マグネシウムは約300種類もの酵素反応に関わっている
- 体内には20~30gのマグネシウムが存在する
- そのうち50~60%は骨や歯に存在する
このように聞くだけでもマグネシウムって、とても大切なミネラルだと思いませんか?
ではもう少しマグネシウムについて詳しくお話していきましょう!
マグネシウムの働き
マグネシウムが非常に重要なミネラルの1つであるのは、先ほどお話しした約300種類もの酵素反応に関わっているからです。
マグネシウムが不足するとこの酵素反応が働きにくくなるので、体に不調が出てきます。
また骨の形成にもマグネシウムは必須なのでカルシウムと同じように摂っていく必要があります。
ではマグネシウムが体の中でどのように関わっているか見ていきましょう。
- タンパク質の合成
- 筋肉の収縮(Caをコントロール)
- 神経情報の伝達
- 骨の形成
- エネルギーの生成
- 血圧の調節
- ホルモン分泌
脚がつったりするのは、筋肉の収縮に関わっているからです。カルシウムは筋肉を収縮させる働きがありますが、マグネシウムはこのカルシウムの働きをコントロールし、過剰な収縮が起こらないようにしています。
血管や心臓の収縮にも関わっているので、偏頭痛が起こったり、血圧が高い方はマグネシウムが摂れているか食生活を見直してみてもよいかと思います。
また人のエネルギーであるATPを作るためには必ずマグネシウムが必要になります。
アスリートはマグネシウムを意識して摂られていますね!
ダイエットをする上でもマグネシウムをしっかり摂らないとエネルギーを作ることができません。
ダイエットをして不調が出るのはマグネシウム不足かもしれません。
マグネシウムは不足した時に顕著な症状が現れにくいので、なかなかマグネシウム不足に気付けないのですが、次にマグネシウム不足で起こりうる症状についてあげてみたいと思います。
マグネシウムが不足すると?
- 食欲がない
- 気分が落ち込みやすい
- イライラする
- 疲れやすい
- 脚がつったり筋肉のけいれんが起こりやすい
このような症状があればマグネシウム不足の可能性があります。
マグネシウムは神経情報の伝達にも関わっているので、気分が落ち込みやすかったり、イライラしたり、このような症状が続くようであればマグネシウム不足も疑ってみてはいかがでしょうか。
またマグネシウム不足が続くと病気の原因にもなります。
- 骨粗鬆症
- 不整脈
- 高血圧
- 心疾患
マグネシウムが不足すると骨粗鬆症や心疾患のリスクが高くなります。
これらの疾患は、マグネシウムのブラダーイオンと言われるカルシウムとのバランスが崩れることによって起こります。
マグネシウムとカルシウムの関係性
マグネシウムとカルシウムは体の中で絶妙なバランスを保つことによってそれぞれの効果を発揮することができます。
一般的にはマグネシウムとカルシウムの理想比率は1:2と言われていますが、日本人の心疾患のリスクとマグネシウム・カルシウムの比率を調査したところ、マグネシウムとカルシウムの比率が1:1~1.5の時に一番心疾患のリスクが少なかったとのデータがあります。
また骨においては、血液中のマグネシウム濃度が低いと、骨からマグネシウムを出してマグネシウム濃度を保とうとする働きがあります。
このときマグネシウムだけではなくカルシウムも一緒に出てしまうのです。
いくらカルシウムをたくさん摂ってもマグネシウムが足りなければ骨粗鬆症になります。
酪農が盛んな国では、むしろ骨粗鬆症のリスクが高いというデータもあるので、カルシウムの摂りすぎには注意し、マグネシウムをバランスよく摂ることを心懸けてくださいね。
マグネシウムの理想摂取量
マグネシウムの理想摂取量は1日300~400mgです。
ただし健康な体であれば過剰な分は排泄されるので、過剰摂取はあまり気にする必要はありません。
過剰な場合に起こる副作用は下痢になります。
欧米では飲料水が硬水のためマグネシウムを摂りやすいのですが、日本は軟水のため飲料水からほとんとマグネシウムを摂ることができません。
また現代人は精製された米や小麦、砂糖を食べるようになったためミネラルを捨てているような食生活になっています。
ストレスやアルコールの摂取によってもマグネシウムは排泄されてしまうので、マグネシウムは意識して摂っていかないと必要量を摂るのは難しいかもしれません。
では食品ではどのような食品を摂ればよいでしょうか。
マグネシウムを多く含む食品としては
- 鯖 32mg
- 大豆 110mg
- ひじき 620mg
- ごま 360mg
- アーモンド 270mg
などがあり、いずれも食品100g中に含まれるマグネシウム量になります。
食品単独で摂っていくのは難しいので、いろいろな食品をバランスよく摂っていくようにしてください。
食品だけて摂るのが難しい場合はサプリメントで補うのも方法の一つです。
ただし緩下剤に使われる酸化マグネシウムはほとんと吸収されないのでマグネシウムを摂るために使わないようにしてください。
今回は体に必要なミネラル、マグネシウムのお話でした。栄養の教育でもマグネシウムはあまり重要視されていませんが、マグネシウムが不足すると体が機能しないということを覚えておいてくださいね!